2012年7月16日月曜日

234.コロンブスの卵

昔、マツダのロータリーエンジンの開発秘話を読んだ。成功したいちばんのポイントが何であったかなどはわすれてしまった。

憶えているのは、「開発が成功することがはじめからわかっておれば、だれでも開発することができる。難しいのは、果たして成功するかどうかは、だれもわからないからである。」ということだ。

その本に書いてあったことだが、詰将棋の問題を示して、「ちょっと難しいけど詰むからやって御覧」というと、がんばって解ける。ところが、「これは詰むか詰まないかわからないのだが、どうですか。」と言って渡すと、詰みませんと言って戻ってくるのだそうだ。きっと詰むといわれると、詰むまでがんばるが、つむかどうかわからないといわれると、こんなに努力しても無駄ではないかという迷いが足を引っ張って、途中で投げ出してしまうのである。

これはあらゆる研究、開発、発見について言えることである。大西洋を西へ西へと航海するとアメリカ大陸に到達することがわかっておれば、誰もが、あらゆるリスクを冒して、船出するだろう。

だから、人が開発したものを見て、こんなものなら自分でもできると言ってしまったら、負けよ。(だれでもそう思うものなのだが。)最初に作ったひとは、失敗するリスクを負っているのに、二番手の人は、成功することがはじめからわかっているのだから、ずっと楽ですよね。最初の人をみとめないのはよくない。それから、だれよりも早くパクった、というのはダメよ。パクルだけでなく、何かを付加した、というのなら、その分だけは評価されるべきである。

0 件のコメント: