2010年9月26日日曜日

226.参考文献3 創るセンス・工作の思考

 森博嗣著「創るセンス・工作の思考」はユニークなアイデアに満ちた本である。
著者は工学部の助教授を長く続け、大学院生の研究指導をした人のようである。それなりの経験をした人である。
 著者は「毎日1時間は工作をしている」そうだ。そのように著書の中で公言している人をはじめて見た。このブログで最近「工作」ということばを堂々と使いだしたのは、この本の影響である。
 工作のセンスのある人というのは、この本によると、作る前に、どこが危ないとか、どこがうまく動かないのでないかといった、工作の隘路の見当がつく人だそうである。(ワタシはそう読んだが誤解しているかもしれない。)
 著者の工作品の一部が紹介されているが、こんなもののどこがおもしろいんだ、どこがすごいんだろうと思うような、非常にマニアックな、高尚なものである。

 著者は非常に割り切った、好き嫌いのはっきりした、明確な思考をする人のようである。
 小説を書くとき、あらかじめ設計図をひいて、始めに決めた筋を追うように書いていくのは、つまらないんだそうだ。すじがどうなるか、書いている本人もわからないでかいていくのが、意外性があっていいのだそうだ。暗礁にのりあげてしまうんじゃないかと思うが。
 また、小説の中にちょっとした謎を提示し、答えを示さないまま、おいておくのは、著者の発明だそうだ。読者の間で話題になるよう種をまくのだろう。
 この本の中にもクイズのような形で、「こんな物が作れますか?」という提案が2つある。その答案を示すことなく、問題を披露することは、著作権上問題があるかもしれないので、やめておく。私が言わずとも、WEBですでにご披露した人がいる。興味ある向きは著書名で検索をかけてごらんなさい。

2010年9月12日日曜日

225.できねえよう3


 最近は全く好調で、文字の彫琢方法、スイングアウトレリーサー、カセット拳銃など、向かうところ敵なしと言っていいくらい、成功の連続であったが、ここにきて頓挫してしまったっす。

 しかし、まあ、やる気がおこらないだけで、やればできると思うので、楽観している。森の中を踏み迷っているが、木立の間は案外すずしく快適だ。

 夏休みが終わったので、生徒、学生のみなさんは、気持ちを切り替えて、勉強しましょう。

 さいきんこのブログでは、工作上の課題を、ブログの作者が超人的な技術力(と自分でいうのもおかしいが)で次々に解決するというのがお約束事のようになっているが、うまくいきそうなのを公表しているだけであって、本当の失敗は記録に残さないだけなのである。

 ところで某サイトのH何某氏の3年ぶりの新作(いわゆるソ-ブレード&シャークフィン式)は、ワタシには正直いって??といったものである。

 それでいいのか?と、キツネに鼻をつままれたような気がした。そんなラチェットがあるかい?

ラチェットとは左図のようなものである。ピ二オンギヤにベロ状の鉄板が噛みこんでいると想像されたし。この場合ギヤは矢印の方向には回転するが逆方向へは回転できない。この場合、重力・ばねなどによって、鉄板はいつもギヤにかみこんでいること、少なくともいつも接触していることが必要である。それでないと用をなさない。

 H氏の新作では、引き金を復帰させた状態ではラチェットは、彼のいう「スライドボルト」とかみあっていない。そんなんでいいんかい?その状態は左の図の鉄板がギヤと噛み合っていないのとおなじで、簡単に逆回転をゆるす。

 H氏の新作は10連発であるが、今、そのうち5発を水平方向に発射したとしょう。その後、グリップをにぎったままで、激しく銃を振り下ろす。昔の水銀体温計の水銀を下げるように手首を効かせて振る。そうするとシャークフィン+スライドボルトが最初の位置に戻ってしまわないだろうか?もし戻ってしまえば、6発目を撃とうとすれば、5回引き金を空うちしてからでないと撃てないだろう。

 今までの彼の作品だと、引き金をきちんと復帰させておけばラチェットがスライドボルトのギザギザと噛み合い、シャークフィン+スライドボルトがもとに戻ることを防いでいたのである。いくら強く振り下ろしても、絶対もとに戻ったりしない。このほうがずっとカッチリした構造だ。

 「新作はその名前に似ず、ゆるゆるパンツだ。」と言いたい。ス**アとは四角四面の折り目正しき構造という意味ではないのか、外見がカッコイイだけなのか。

 (ワタクシとすれば、このH氏の新作にたいし、振り下ろしテストだけでなく、もっと過酷なテスト、たとえば思い切り踏んで踏んでして耐えられるかというようなこともやってみたいと思うが、そのようなテストには私自身の作品も耐えられないと思われるのでやめておく。)

 NG協会のガンロッカーLの2番目(L-02)に電脳おんちゃんのワルサーPPK型のソーブレード&シャークフィン方式の連発銃がある。この銃はH氏のオリジナルと違い、ラチェット部分が銃の外に出ていない。シャークフィンを戻す場合にはラチェット前方のロッドを後方に押して、ラチェットを沈ませ、シャークフィンに直結したソーブレード(いわゆるスライドボルト)との連結を切る。それによってシャークフィンは移動自由になり、前方に復帰できる。

 ソーブレード&シャークフィン方式にラチェットの接続を切るディスコネクターを追加したのが、この銃の作者のオリジナルであり、それによって、ラチェット部分を銃の外にださないようにし、PPKを模したモデルが可能となった。(ガンロッカーI-01のトミーガンもラチェット部分が隠れており、同様の機構を持っているかもしれない。トミーガンの方がPPKよりも製作時期は前である。・・・ところで、オリジナルに何か付け加えるということは大事なことである。たとえ小さなことであっても。小さなことであることは自覚していなければならないが。

 また、ガンロッカーYには画期的なダブルラチェット構造を持ったソーブレード&シャークフィン方式の傑作がある。これもラチェットとスライドボルトの間に滑り込ませ、ラチェット爪を沈ませるしかけのディスコネクターを持っている。このディスコネクターはPPKと違い、銃の左側面から操作する。

 H氏の新作「ス**ア」は、引き金を復帰させた状態で、ラチェットの接続が切れる機能を付け加えたのでありますが、果たしてそれでいいのでありましょうか、といいたい。ラチェットの接続は必要なときにだけ切れたらいいのであって、いつも切れるようにする必要はない。それは不必要な機能であって、槍杉というものだ。それを付け加えると、肝心の機能ーラチェットがしっかりスライドボルトを保持するという機能が失われてしまう。銃の先端を一寸振っただけで遠心力でスライドボルトがどこまで戻るやもしれませんというようなゴ**砲は完成したものとは言い難いだろう。
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 ソーブレード&シャークフィン方式のゴ**砲を作ったことのない人は、同方式の引き金のワンストロークは、ギザギザの歯1枚分とおもっているのではないだろうか。ワタクシ自身、最近までそう思っていたのであります。このブログの第110項と112項で、ダブルラチェット式のマガジン連発銃の構造の解析をしたときにもそう思っていた。


 以前に考えていたソーブレード&シャークフィン方式のラチェット爪の動きとは以下のようなものである。

 今、左の図のように、上方にソーブレード、下方にラチェット爪が噛み合ったラチェット装置があったとする。
 引き金と連動した爪が1歯だけ後方へ移動すると、ソーブレードもついて後方へ移動する。
 このとき、輪ゴムが発射されるように、シャークフィンと装填用ソーブレードの相対位置を決めておく。




 次いで引き金が復帰すると爪も前方へ戻るが、ソーブレードは質量を大きく作ってある(?)ので、慣性・摩擦などで、前方へは動かず、その場にとどまる。


 ラチェット爪はばねにより沈み込み、ソーブレードの山を越える。越えた瞬間、ばねが復帰してラチェット爪は立ち上がる。結局ラチェット爪が1歯だけ前方へ移動した位置でひとつ前のくぼみにラチェット爪がはまりこんで止まる。これで1行程おわり。ラチェットの状態は最初の段階に戻っている。


 もしこの通りであるなら、Hポイント氏の新作のように引き金が復帰したとき、ラチェット爪が沈み込む余裕というか、沈み込む瞬間はまったくないことになる。


 しかし実際には引き金のストロークはギザギザの1歯分では足らず、ワタシの作品では、大かた2ギザ近くも動かさなければならなかった。この原因はいろいろ考えられるがワタシには詳細は不明。

 しかし2ギザも動かすとなるとその行程の最後の、たとえば0.3ギザを使ってラチェット爪を沈みこませることができる。ラチェット爪がソーブレードと噛み合うには、1.5ギザくらいあればよいからである。(2010年9月19日追記す)

 さらに新しい作品モなんとかいうのも、ワタシにとってはキツネに鼻をつままれ、タヌキに目隠しをされ、ムジナに股ぐらをいじられているような感じがする。たぶんこの形式のほうが、普通のソーブレード&シャークフィンよりも、装填した輪ゴムの弾力でリリーサーの2枚の側版の上からリヤフックの基部を左右からはさみこんで、摩擦を大きくしやすいのだと思うが、誤解しているかもしれないので、感想はまた来週。(9月19日14時)

2010年9月5日日曜日

224.失敗!


うまくいかない。

二、三日いろいろと修正していたが、輪ゴムを装填すると、さっぱり動かなくなるのが直らなかった。今朝になって、やっと原因がわかった。あたらしいシャークフィンは2枚の板でソーブレードをぎゅっとはさみこんで動かなくするような構造になっとった。またソーブレードの剛性も低かった。

やり直し。まあぼつぼつやろう。