森博嗣著「創るセンス・工作の思考」はユニークなアイデアに満ちた本である。
著者は工学部の助教授を長く続け、大学院生の研究指導をした人のようである。それなりの経験をした人である。
著者は「毎日1時間は工作をしている」そうだ。そのように著書の中で公言している人をはじめて見た。このブログで最近「工作」ということばを堂々と使いだしたのは、この本の影響である。
工作のセンスのある人というのは、この本によると、作る前に、どこが危ないとか、どこがうまく動かないのでないかといった、工作の隘路の見当がつく人だそうである。(ワタシはそう読んだが誤解しているかもしれない。)
著者の工作品の一部が紹介されているが、こんなもののどこがおもしろいんだ、どこがすごいんだろうと思うような、非常にマニアックな、高尚なものである。
著者は非常に割り切った、好き嫌いのはっきりした、明確な思考をする人のようである。
小説を書くとき、あらかじめ設計図をひいて、始めに決めた筋を追うように書いていくのは、つまらないんだそうだ。すじがどうなるか、書いている本人もわからないでかいていくのが、意外性があっていいのだそうだ。暗礁にのりあげてしまうんじゃないかと思うが。
また、小説の中にちょっとした謎を提示し、答えを示さないまま、おいておくのは、著者の発明だそうだ。読者の間で話題になるよう種をまくのだろう。
この本の中にもクイズのような形で、「こんな物が作れますか?」という提案が2つある。その答案を示すことなく、問題を披露することは、著作権上問題があるかもしれないので、やめておく。私が言わずとも、WEBですでにご披露した人がいる。興味ある向きは著書名で検索をかけてごらんなさい。
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