2012年12月27日木曜日

260. 「Make 日本語版 volume 12」 と「子供の科学」

”Make” 日本語版 volume 12 を買った。the most useless mashine が載っていたから。

この機械the most useless mashine を1952年に最初につくった人は「情報理論の父クロード・シャノン」で、「人工知能の父マービン・ミンスキー」の考案によるものだそうである。えらい学者
のアイデアによるおもちゃである。

最近のブームはブレット・クルサードがタイマーIC555を使って、簡単な回路で
「完全に自分の動く回路を切ってしまう」機械を自作し、YouTube と Instructables
で発表したことがはじまりだそうだ。

(Instructables のサイトに行き、the most useless macnine ever をキーワードにして検索すると
桐によく似た白木の箱で作られたブレット・クルサードのマシンの写真がでてくる。説明文の最初に
Backgroundの項があり、どうしてこの作品がつくられたかの背景が説明されている。そこには
Also known as The Ultimate Machine: Claude E. Shannon built the first one based on an idea by Marvin Minsky.  とある。)


私が間違っていたのは、現在最も多く、WEB上で動画が見られるthe most useless mashine
はPICマイコンはおろか、タイマーIC555ですら使っていないということである。(このブログの227項と232項ではPICを使っていると、また第254項ではほとんどのマシンがタイマーIC555を使っていると思っていた。)InstructablesのユーザーであるCompukidmike がブレット・クルサードにたいするコメントの欄でモーターとスイッチだけの仕掛けでよいと発言した。

(Instructables のサイトのthe most useless macnine ever のコーナーの900以上あるコメントのうち、2010年の1月5日にcompukidmike氏の発言がある。)

the most useless mashine というのは、箱の上のスナップスイッチを一方に倒すと(スイッチを入れると)、箱の半分の蓋があいて、機械の手が飛び出してきて、今いれたスイッチを切って、箱の中に引っ込んでいくというものである。leave-me-alone machine ともいわれている。

この手が引っ込んでいく途中で、またスイッチを入れると、引っ込んでいた手が瞬時にひきかえしてきて、スイッチを切ってしまう。このしかけにはエレクトロニクスが必要とおもっていたが、スイッチを二つつかっただけだそうである。なんのことはない。機械の手はモーターで動き、スナップスイッチをいれると、そのモーターのスイッチがはいるいるだけなのだ。スナップスイッチは逆転スイッチになっていて、機械の手がスナップスイッチを切ったようにみえるのは、自分(手)を引っ込める方向にスイッチをいれただけなのだ。手が動かなくなるのは、手が最も引っ込んだときに、「引っ込ませる」回路の接続が切れるようにもう一つスイッチを使っている。

昔の玩具のミステリー・バンクも現在日本で市販されている猫がコインをさらいこむ貯金箱も、the most useless mashine も、automatic targetも、全部、モーターとスイッチだけでできているのだろう。それが555タイマーICをつかうよりも安価だから。(下の実体配線図はInstructablesのthe most useless macnine ever のコーナーでの発言=kill1234氏のもの=からの引用で、compukidmike氏のものではないが、わかりやすい


第226項で森博嗣著「創るセンス・工作の思考」を紹介したが、その中につぎのような問題が提出されていた。「電池とモーターを使って、ジュースの自動販売機の模型を作れ」。その答えのひとつもこれらのしかけと同じものである。これは昔の「子供の科学」に作り方が掲載されていたので、時間があれは作ってみよう。


2012年12月12日水曜日

259.the most useless machine,mystery bank and automatic target

most useless machineのmechanism を応用して、護謨鉄砲の automatic targetを作ってやろうと思っていたが、すでに製品が市販されているので、がっかりしている。

これは日本でも市販されている。ライラクス・オートマチック・ターゲットで検索すると出てくる。1500yenである。

このしかけは大体想像がつく。most useless machineか、mystery bank のどちらかにより似ているだろう。

most useless machineは6pのsnap switchをつかっているが、mystery bank は一種のrotary switchを用いて、motorのdelay mechanismを作っている。これらは親戚(relatives)のmechanismである。

most useless machineは6pのsnap switchでreverse rotary motionを起こすが、mystery bank では、1directionしか回転しない。

どっちでもできるが、mystery bank をmodel にしたほうがやさしいと思う。

2012年12月4日火曜日

258.どうでもよいところに個性が出る

 現代のジェット戦闘機の写真を見ると、ステルス以前の機体はアメリカもロシアもよく似ている。ぱっと見た目には見分けがつかないほどである。しかし垂直尾翼の形をみると、ロシアのものは先端を斜めに切り欠いており、アメリカ製のものと区別がつくようになっている。アメリカの戦闘機は垂直尾翼の先端が斜めに切り欠かれたものはない。なぜだろうか。
Mig25

Mig29

Su27
F15

F18
垂直尾翼の形というものは飛行機の性能に関係がなく、設計者が自由にデザインできるのだそうだ。現代の戦闘機の形が似てくるのは、双発エンジンを左右に配置し、ひらべったい機体の上面で垂直尾翼の効きをよくするためには、双垂直尾翼にしなければならない、というふうに、要求される性能の機体を手に入る主要部品で作るとなると、可能な形態が限られてくるからだ。これにたいし、垂直尾翼の形はレシプロエンジンの時代から、比較的自由にデザインできるらしい。

 したがってロシアの戦闘機は垂直尾翼の先端を斜めに切り欠いたものを、共通に使って、自国製であることをアッピールしている。アメリカは絶対この形にはしない。

絵の真贋を鑑定するとき、人物画だと、耳を見るのだそうである。人物の目鼻口はモデルによって異なるが、耳は人物の顔の特徴とは考えられていないので、画家はやや「流して」かく。だから、画家の個性がよく出るのだそうだ。モデルが違っても、耳の書き方は同じということがあるらしい。

ピストルでは、用心鉄の形などは、銃の性能には関係がない。どんなかたちであろうとどうでもよい。だから逆にメーカーの個性が出やすいと思われる。したがってメーカーは、自社製の銃の用心鉄の形に共通性を持たせて、ブランドであることを強調しているのではないか。
 
上の写真はどこの会社のピストルかというと・・・・・・・・これはベレッタm92とm1934である。楕円形の美しいかたちをしている。m1934はおそらくブローニングの影響でだろうが、m92でもそれを守っている。
 
ではつぎは?ひとつは拳銃でなく、サブマシンガンだが。
 
 
これらは、前から、ヘッケラー&コッホのUSP、P7、MP5である。ベレッタに比べて、無骨で、デザインなどないように見えるが、そうでない(と思う)。とくに中指の当たる、後方の付け根に共通点がある。
 
次の画像の左側はS&Wのm439である。こんなふうに用心鉄の前の方を、あごをしゃくるみたいに持ち上げたオートマチックは他にないので、銃の性能はともかく、一目見てわかるモデルになっている。この「あごのしゃくり」はS&Wのレボルバー(下の右はM29)を連想させるように作ってあるのだろう。