この方式の現代版が市販されている。オーストラリア製のfirewheelである。firewheelは1980年に特許をとっている。特許書類の図を見てみよう。
大きさの違う複数の歯が渦巻き状にならんだ歯車8があり、変則引き金5(親指の付け根付近で押して発射させるので「押し金」といったほうがいいかも)によって回転を制御する。深く握りこむとフルオートとなる。
NG協会ではHポイント氏がfirewheelのコピーをつくっている。ガンロッカーのP003ト*カーがそれ。(回転方向はfirewheelとP003ト*カーでは反対だったかもしれない。根本のアイデアは同じ)Hポイント氏はアイデアの借用元のfirewheelについて何も言及していない。この作者はたいへんオリジナリティにあふれる作品もつくるが、ときどきパクリもやる。アイデアを拝借してシレッとしているのは大体東京や大阪のような都会の人間で田舎者はそういう器用なことはできません。(もういちどP003ト*カーを見たが、これはまったくfirewheelと同じ物とも言えないようだ。しかし中心からの距離の違う複数の歯から構成される歯車とシアー1個がかみ合うところは同じだ。firewheelは市販されているからこの構造がWEBで見える。たとえばhttp://www.frostyplace.com/index.php?story_id=3649 。そこからヒントを得たことは十分考えられる。私が製作者ならfirewheelに言及せずに済ますことはなかっただろう。全く知りません。歯を1枚ずつ送る機構について偶然よく似たものが出来てしまいました。とかね。P003ト*カーはむしろ上に紹介した1930年の特許そのままだが特許の図よりさらに不細工なところを見ると、コピーではなさそうだ。Hポイント氏は米国特許をコピーした作品を常習的に組織的に作っているのではなさそうである。なぜならもしそうならもっと早く輪ゴムガトリングが登場していただろうから。小児「G」自身は回転翼式変形というこの形式全体・・・firewheelも含めて・・・は回転翼式{回転翼+シアー2個}があればいらないのではないかと思う。自分ならfirewheelのメカニズムを知っていて、P003ト*カーを作ることはしないだろう。firewheelがあるだけで十分ではないか。Hポイント氏は市販のメカのパクリを自分で考案したかのようにWEBで発表する癖があるのだ。しかし、これは今後のことだが、歯の大きさの違う歯車を使うというアイデア自身は役にたつかもしれない。firewheelやP003ト*カーのアイデアが生きる局面があるかもしれない。2009.6.20)
実際の銃ではハンマーの根元に大きさの違う歯をつけて操作することは常套手段のようです。
WEBを探索しているとコルト・シングルアクション・アーミー(SAA)の部品図があった。SAAのハンマーの根元はfirewheelの変形回転翼と共通点があるように思われる。西部劇で有名なレボルバーは1870年ころ(明治時代)開発された。
コルトSAAでは撃鉄をハーフコックの状態にして、シリンダーから撃鉄(+撃針)を離し、弾丸を装填する。そのとき、シアー(引き金部品のうち撃鉄と噛み合う部分)は、撃鉄の溝のうち狭く深いものと噛みあうので、引き金は引けなくなる。すなわち装填中の暴発がなく、安全である。
撃鉄をフルコックすると、シアーと撃鉄の噛み合いはゆるくなり、引き金は引ける。このとき、シアーにひっかかっている撃鉄の歯は、ハーフコックのときのより大きい。引き金を引くと、ハーフコックの状態には戻らず、撃鉄が落ちるようになっている。
コルトSAAの撃鉄の状態としては、
(1)撃鉄が落ちている
(2)ハーフコック状態
(3)フルコック状態
の3態があるが、(2)から(1)の状態へは両手を使って引き金と撃鉄の双方にゆびをかけ、きわめて慎重に操作しないと戻れない(と思う)。(1)に戻すとしても、いったん(3)の状態にしてから同様に両手を使って操作したほうが楽である。通常(1)→(2)→(3)→(1)のように変化する。
撃鉄の根元の歯の長さを変えるのは、以前からあることで、トイガンがそれを模倣するのはありそうなことである。